サクランボ不作のニュースに思うこと。——自然と向き合うということ。

本日、山形県産サクランボの収穫量、過去半世紀で最低に…ブランド「佐藤錦」への偏りも背景に。
というとても現実的なつらい記事を見たので、ちょっとだけ思う事を書いてみようと思う。


記事はこちら
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20260217-GYT1T00179/

いやはや、ここ5年間、さくらんぼ栽培が大変になったと本当に感じるものである。

記事では、深刻な不作の要因として「ハチの活動停滞」や「佐藤錦への偏り」が挙げられていますが、ずっと現場で木と向き合ってきた私の目から見ると、事態はもう少し複雑で、本質的なアプローチが必要だと感じています。
今回の不作を受けて、当園としての見解を述べたいと思います。

1. 「ハチの増強」だけでは解決しない、生体の問題

受粉がうまくいかなかったのは事実ですが、原因はハチの活動低調だけではありません。
さくらんぼの花には繊細な生体的問題が絡んでいます。
ハチを増やしたり、回数だけを重ねる人工授粉を行ったりするだけでは、真の解決には至りません。
刹那の時の花の状態を見極める「眼」が必要です。

2. 圃場激減の中での「受粉樹」の重要性

県内全体で圃場が激減している現状において、受粉樹を増やすという対策は非常に理にかなっていると考えます。
受粉効率を高めるための環境作りは、土台として欠かせない要素です。

3. 物理的な対処を超えた「気象の読み」と「決断力」

農業は天候に左右される宿命にあります。(ここ重要)
品種変更やハチの確保といった物理的な対策だけでは、近年の異常気象は乗り越えられません。
私が重要だと考えているのは、「天候を最低でも2週間先まで的確に、かつ独自に予測する知識」、そしてその予測に基づき、刻一刻と変わる状況下で「今、何をすべきか」を即座に判断する決断力です。

4. 「品種変更」は万能薬ではない

「佐藤錦」から他品種への切り替えも議論されていますが、極端な天候の前では、どの品種であってもリスクは似たようなものです。
品種を変えたからといって解決するほど、自然は甘くありません。
(あの紅秀峰だって変わり果てた姿になってしまうのですから・・)

5. まとめ

うーん。やはり奥が深くて全てここには書ききれませんね💦
私がここまで述べてきたことは、農業に携わる方であれば、ある程度は周知の事実かもしれません。あるいは、もっと深い真髄に辿り着いている方もいらっしゃることでしょう。

しかし、その詳しい「核心部分」となると、結局のところは企業秘密であり、いわば一子相伝的な要素が強いのがこの世界の現実です。私自身、これまで積み上げてきた判断の基準や、樹との対話の仕方は、言葉では簡単に言い尽くせない「秘伝」に近いものだと感じています。

それでも、私がこうして発信するのには理由があります。

それは、これからの時代を作っていく若者たちに、山形の美味しいさくらんぼを絶やさず、栽培し続けてほしいと願っているからです。

自然を読み、天候と対峙する力は、一朝一夕で身につくものではありません。個人としての力は微力かもしれませんが、私の持つ経験や考え方が、次世代を担う彼らの力になれるのであれば、これほど嬉しいことはありません。

抜本的な解決策がないからこそ、私たちは知恵を絞り、決断し続けなければならない。
山形の宝であるさくらんぼを、次の100年へ。
そのために、私はこれからも山奥の園地で、空を見上げ続けます。

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